綺麗に剪定された茶畑の緑の景観は茶処静岡を代表する農業の風景です。ここ掛川では特に農家が晩秋から初冬にかけて、茶畑周辺の野山から「ススキ」や「ササ」などの草を刈り、乾燥させた後、細かく刻んで茶畑の畝間に敷き詰めて茶樹の乾燥を防いだり寒さから根を守る農法が伝承されています。機械化された農業の中でも良質のお茶を生産したいという農家の努力により、茶草場の生物多様性が保全されてきた歴史が高く評価されて、「静岡の茶草場農法」として2013年に世界農業遺産に登録されました。
GIAHSは2002年に食料の安定確保を目指す国際連合食料農業機関(FAO 本部イタリア)によって開始されたプロジェクトです。世界農業遺産の目的は近代化の中で失われつつあるその土地の環境を生かした伝統的な農業・農法、生物多様性が守られた土地利用、農村文化・農村景観などを「地域システム」として一体的に維持保全し、次期世代に継承させていくことです。
人の手によって維持管理されている草地環境は「半自然草地」と呼ばれている。 人の手が入って、草を刈ることは、一見すると自然を破壊しているようにも見える。しかし実際には、人の手が適度に入った里山環境では、多くの生物種が生息することが知られている。 草を刈らずにおくと、生存競争に強い植物ばかりが生い茂ってしまうので、生息できる植物の種類はかえって少なくなる。 一方、定期的に草を刈り取ることによって、大きな植物が茂ること無く、地面まで日の光が当るので、生存競争にも弱いさまざまな植物が生息をすることができる。 そのため、里山の草地ではさまざまな植物が生息して、豊かな生物多様性を作り上げるのである。 静岡の茶草場農法が自然環境を守る一因になった。 静岡の茶草場のような風景は昔からどこでも見られた、ありふれた里山の風景であった。 一昔前であれば、農村では、刈った草を肥料として田畑に入れたり、牛や馬の餌にしたり、かやぶき屋根の材料としたのである。 このような人の手によって維持管理されている草地環境は「半自然草地」と呼ばれている。 1880年代の記録では、国土のじつに3割にもの面積が「草地」として利用されていたという。時を経て農業や人々の生活が近代化すると里山の資源は必要なくなり、人の手を入ることで保全していた「半自然草地」も放置されるようになった。 その結果、全国的に普通に見られた半自然草地はすこぶる減少し、それらの草地を住みかとしていた多くの動植物が危機にさらされるようになった。
刈った山草を束ねて積み上げて日光の良く当たって風通しの良い山野で何日もかけて十分乾燥させた後、茶畑に敷きやすいように機械で細かく粉砕します。そして大きい布の袋にタップリ入れ、いくつも作ります。
細かく砕いた山草の袋を茶畑に運んで一袋づつ、丁寧に茶畑の畝間(うねま)に均一になるように敷き詰めていきます。冬場の乾燥を防ぐ対策になったり、防寒対策にもなります。
茶畑の畝間(うねま)に敷き詰められた山草のカットです。土の上に敷くことにより、茶樹の根っこの温度や湿度が一定の条件になり、味や香りの強いお茶が出来ると考えられています。
草地に生える多年生草本。地下茎は太くて短い。根出葉は長い柄があり、羽状複葉、小葉は細長い楕円形、細かい鋸歯がある。秋に茎を伸ばし、その先に穂状の可憐な花をつける。穂は短く楕円形につまり、暗紅色に色づく。
花茎の高さは40-100cmになり、葉は茎に3-5枚輪生し、稀に互生または対生する。茎につく葉の形は楕円形から披針形で、やや厚みがあってつやがない。長さは4-8cmで縁に鋸歯がある。
茶草場の代表的な場所の一つ「掛川市粟ヶ岳の中腹では、「カケガワフキバッタ」という虫が存在する。この虫は、決して広くないこの地域特有生物です。羽が退化して飛ぶことが出来ません。
本州中部地方以西から四国・九州に分布する。茎は立ち上がり、間隔をおいて葉をつける。葉はやや厚く、楕円形で比較的大きい。6-7月頃に花を咲かせる。花の長さは10-15cm位です。
日本固有種のカエルです。本州〜九州の山間部に棲み体長5〜6センチメートルで背面はすべて緑で本土で最も美しいカエルとも言われます。成体は森に生息し、産卵は田んぼや沼池など。